一級建築士試験の法規が苦手だと感じると、

「もっと法令集を速く引けるようにならないといけない」

と考えがちです。

もちろん、法令集を引く速さは大切です。

しかし、法規でつまずく原因は、それだけではありません。

問題文を読んでも何を調べればよいか分からない人もいれば、条文は見つけられるけれど、何が書いてあるか読み取れない人もいます。

数字や例外が混ざってしまう人もいれば、時間をかければ解けるのに、本試験の時間内では解き切れない人もいます。

同じ「法規が苦手」でも、止まっている場所は人によって違います。

必要なのは、法規を最初から全部やり直すことではありません。

まずは、自分がどこで止まっているのかを知ることです。

この記事では、法規が苦手な人を5つのタイプに分けて考えます。

法規を解く途中のどこで止まっているのか

法規の問題は、おおまかに次のような流れで解いていきます。

  1. 問題文を読み、何について問われているか判断する
  2. 確認する条文を探す
  3. 条文の内容を読み取る
  4. 問題文の条件と、適用範囲や例外を照合する
  5. 制限時間の中で正誤を判断する

法規が苦手なのではなく、この流れのどこかで止まっていると考えると、必要な勉強が見えやすくなります。

ここからは、5つの苦手タイプを順番に見ていきます。

タイプ1|問題文を読んでも、何を調べればよいか分からない

最初のタイプは、法令集を開く前の段階で止まっている人です。

例えば、次のようなことに心当たりはないでしょうか。

  • 問題文を読んだら、すぐに索引を開いている
  • 目についた言葉を、そのまま法令集で探している
  • どの分野の問題なのか判断できない
  • 解説を読めば分かるが、自分では調べる場所を思いつかない
  • 見覚えのある数字だけで正誤を判断してしまう

このタイプは、法令集を引くのが遅いように見えて、実際には「何を調べる問題なのか」を判断できていない可能性があります。

問題文に「共同住宅」と書かれていたとしても、確認する内容は一つではありません。

用途地域について問われることもあれば、防火、避難、採光、手続きなどについて問われることもあります。

問題文に出てきた言葉を探すだけでは、確認する条文を絞り込めません。

このタイプに必要なのは、法令集を速くめくる練習の前に、

この問題では、何について判断しようとしているのか

を一言で表す練習です。

【詳しい記事】 法規が苦手な人へ|問題文を読んでも、何を調べればよいか分からない人へ

タイプ2|問題で何を聞かれているかわからない人

次は、確認する条文までは見つけられるけれど、その内容を読み取れないタイプです。

  • 該当する条文は見つけられる
  • 一文が長く、途中で意味が分からなくなる
  • 主語と結論を見失ってしまう
  • 「ただし」「除く」「この限りでない」で混乱する
  • 条文を読んだのに、問題の正誤を判断できない
  • 解説を読んで初めて、条文の意味が分かる

法令文は、普段読む文章とは書き方が違います。

条件や例外が一つの文章に詰め込まれているため、最初から最後まで普通の文章として読もうとすると、何を確認すればよいか分からなくなります。

このタイプに必要なのは、条文を何度も黙読することではありません。

条文を、

  • 誰に、何に適用されるのか
  • どのような条件があるのか
  • 最終的に何を求めているのか
  • 何が除外されているのか

に分けて読む練習です。

条文をすべて覚えるのではなく、問題文の条件と照らし合わせられる形に分解していきます。

【詳しい記事】 法規が苦手な人へ|問題で何を聞かれているかわからない人へ

タイプ3|条文は見つかるのに、その先で迷う人へ

3つ目は、問われている内容は分かるけれど、法令集のどこを確認すればよいか分からないタイプです。

  • 毎回、索引から条文を探している
  • 似た言葉が多く、どのページを開けばよいか迷う
  • 基本となる条文は見つかるが、その先に進めない
  • 本文から施行令、別表、告示などへの移動で迷う
  • 過去に解いた問題でも、毎回同じ場所を探し直している
  • インデックスを増やしても、法令集を引く速さが変わらない

法規では、一つの条文を開いただけで答えが見つかるとは限りません。

条文の中に書かれた別の規定へ移動したり、施行令や別表を確認したりする必要があります。

このタイプに必要なのは、条文番号を単独で覚えることだけではありません。

どの条文を入口にして、どこへ移動し、最後に何を確認するのか

という「条文への道順」を覚えることです。

過去問を解いた後も、正解の根拠だけでなく、どこからどのようにたどったのかを振り返ります。

【詳しい記事】 法規が苦手な人へ|法令集のどこを引けばよいか分からない人へ

タイプ4|数字・適用範囲・例外が混ざってしまう

4つ目は、勉強して知識も増えているのに、似た数字や規定が混ざってしまうタイプです。

  • 数字を覚えているのに問題を間違える
  • 似た制度の数字が混ざる
  • 「以上」と「超える」を取り違える
  • 用途、規模、区域などの適用条件が抜ける
  • 原則は覚えているが、例外で間違える
  • 表に整理したものの、情報が増えすぎて見返さなくなる

法規では、数字だけを覚えても正解できません。

数字には必ず、「何についての数字なのか」「どのような建築物に適用されるのか」という条件があります。

例えば、同じ面積の数字を覚えていたとしても、対象となる用途や行為、区域が違えば、まったく別の規定です。

このタイプに必要なのは、数字を単独で暗記することではなく、

対象・条件・数字・結論

を一つのまとまりとして整理することです。

また、すべての規定を一つの大きな表に詰め込むのではなく、自分が混同するものだけを並べて比較する方が、違いを見つけやすくなります。

【詳しい記事】 法規が苦手な人へ|数字・適用範囲・例外が混ざってしまう人へ

タイプ5|法令集を引いていると時間が足りなくなる

最後は、時間をかければ解けるけれど、本試験の制限時間では解き切れないタイプです。

  • すべての選択肢を法令集で確認している
  • 一つの条文が見つかるまで探し続けてしまう
  • 法令集を引かなくても分かる問題まで確認している
  • 一つの問題に何分もかけてしまう
  • 後半になるほど焦り、問題文を読み間違える
  • 過去問では解けるのに、時間を計ると点数が下がる

このタイプは、単純に法令集を引く手が遅いとは限りません。

法令集を引く回数が多すぎたり、見つからない条文を追い続けたりしていることもあります。

法規の時間対策というと、インデックスや線引きを工夫して、法令集を速く引くことに意識が向きます。

しかし、それだけでは限界があります。

このタイプに必要なのは、

  • 覚えて判断する問題
  • 法令集で確認する問題
  • すぐに見つからなければ後回しにする問題

を分けることです。

法令集を速く引くだけでなく、引く場面そのものを整理する必要があります。

【詳しい記事】 法規が苦手な人へ|法令集を引いていると時間が足りなくなる人へ

複数のタイプに当てはまってもよい

ここまで5つに分けてきましたが、必ず一つだけに当てはめる必要はありません。

問題文から論点を見つけるのが苦手で、条文を見つけた後も読み取れないという人もいます。

普段は解けているけれど、時間を計ると焦って、数字や例外を取り違える人もいます。

複数に当てはまる場合は、法規を解く流れの中で、より手前にあるつまずきから見直すのがおすすめです。

何を調べるのか分かっていない状態で、法令集を速く引こうとしても、関係のない条文を速く探すだけになってしまいます。

条文の意味を読み取れない状態で、数字や例外だけを覚えても、問題文との照合ができません。

まずは、最初に止まっている場所を探します。

過去問を間違えた理由を「法規が苦手」で終わらせない

過去問を間違えたときは、正しい答えを確認するだけでなく、どこで止まったのかを振り返ってみてください。

  • 何を調べる問題か分からなかった
  • 調べる内容は分かったが、条文の場所が分からなかった
  • 条文は見つけたが、意味を読み取れなかった
  • 適用条件や例外を取り違えた
  • 時間が足りず、十分に確認できなかった

間違えた理由が変われば、次にやるべき勉強も変わります。

すべてを「知識不足」で片付けてしまうと、覚える量ばかりが増えてしまいます。

法規では、知識を増やすことに加えて、問題文から結論までの流れを整えることも必要です。

まとめ|法規が苦手なのではなく、途中のどこかで止まっている

法規が苦手な人は、次の5つのタイプに分けて考えられます。

  1. 問題文を読んでも、何を調べればよいか分からない
  2. 条文を見つけても、何が書いてあるか分からない
  3. 法令集のどこを引けばよいか分からない
  4. 数字・適用範囲・例外が混ざってしまう
  5. 法令集を引いていると時間が足りなくなる

法規が苦手だからといって、法令集を引く練習だけを繰り返せばよいとは限りません。

まずは、自分が法規を解く途中のどこで止まっているのかを確認します。

法規が苦手なのではなく、法規を解く途中のどこかで止まっている。

止まっている場所が分かれば、必要な練習も見えてきます。

次回からは、それぞれの苦手タイプについて、原因と具体的な勉強方法を一つずつ詳しく考えていきます。