法令集のどこを見ればよいかは分かる。

該当する条文も見つけられる。

それでも、問題の正誤を判断できない。

このタイプの人に必要なのは、条文を一字ずつ読む練習ではありません。

この問題では、法令の何を聞かれているのかを理解することです。

問題文と同じ文章が、法令集にあるとは限らない

法規の問題には、条文の文章がそのまま出題されるものもあります。

しかし、多くの問題では、問題文と同じ文章が法令集に書かれているわけではありません。

複数の規定を組み合わせたり、原則と適用除外を照らし合わせたりして、問題文の内容が正しいかを判断します。

つまり、問われているのは条文の場所だけではなく、その法令をどう読んで結論を出すかです。

問題で聞かれていることを見つける

例えば、次のような問題があったとします。

保有水平耐力計算を行った鉄筋コンクリート造の建築物の柱主筋は、帯筋と緊結する必要がある。

法令集を探しても、この問題文と同じ文章がそのまま書かれた条文はありません。

この問題は、次の順番で読んでいきます。

  1. 保有水平耐力計算を行った場合に、適用しなくてもよい規定を確認する
  2. その中に、鉄筋コンクリート造の柱の鉄筋に関する規定があるか探す
  3. 主筋と帯筋の緊結に関する規定が、適用除外になるか判断する

鉄筋コンクリート造の柱については、施行令77条2号に「主筋は、帯筋と緊結すること」と定められています。

一方、施行令36条2項1号では、保有水平耐力計算によって安全性を確かめた建築物について、施行令77条2号から6号までの規定に適合することを要しないとされています。

そのため、「帯筋と緊結する必要がある」という問題文は誤りです。

この問題で聞かれているのは、施行令77条2号の文章を知っているかどうかだけではありません。

保有水平耐力計算を行った場合、柱の構造に関する規定がどこまで適用されるのかを判断できるかが問われています。

試験中に、一から考えている時間はない

もちろん、本試験で毎回この読み方を一から組み立てていたら、時間が足りません。

だからこそ、勉強中に過去問を使って、問題の問われ方を知っておく必要があります。

問題を解いた後は、正しい答えだけでなく、

  • この問題では、何を聞かれていたのか
  • どの規定を確認したのか
  • どの順番で正解にたどり着いたのか

を確認します。

この道筋を知っていれば、同じような問題が出たときに、最初から考え直す必要がありません。

一つの問題に、一つの正解だけを結び付けない

問題と答えだけを覚えると、頭の中では、

この問題だから、この答え

という一対一の記憶になります。

問題の言い方や条件が少し変わると、別の問題に見えてしまいます。

しかし、何を聞かれているのかが分かれば、問題文が変わっても、正解を導くためのアプローチは同じです。

先ほどの例であれば、柱主筋の問題だけを覚えるのではありません。

この構造計算を行った場合、どの構造規定が適用除外になるのか

という問われ方を覚えます。

この視点を持っていれば、柱以外の構造規定について問われても、同じ順番で確認できます。

過去問から「問われ方」を集める

法令をどう読めばよいかを学ぶとき、参考になるのが過去問です。

過去問には、試験で法令のどこを、どのように読ませるのかが示されています。

同じ系統の問題を続けて解き、

  1. 何を聞かれているか考える
  2. 解説で、正解までの道筋を確認する
  3. 法令集を開き、実際にその順番でたどる
  4. 同じアプローチを使う問題と結び付ける

という確認を繰り返します。

正解を一つずつ覚えるのではなく、正解までの道筋を覚えていくイメージです。

同じアプローチで解ける問題を増やす

問題の問われ方が分かるようになると、似た問題を一つのまとまりとして考えられるようになります。

一問ごとに別の答えを覚える必要がなくなり、同じアプローチを使って、複数の問題に対応できます。

これは、覚える量を減らすことにもつながります。

一問に一つの正解を覚えるのではなく、複数の問題に使える考え方を覚える。

この方が、脳のリソースを節約しながら、初めて見る問題にも対応しやすくなります。

まとめ

条文を見つけても問題の正誤を判断できないときは、条文の文章だけを追うのではなく、まず何を聞かれているのかを考えます。

対応はシンプルです。

  1. 問題で何を聞かれているか考える
  2. 解説で、正解までの道筋を確認する
  3. 実際に法令集をたどる
  4. 同じ問われ方の問題を続けて解く

条文の文章を、そのまま覚えることが目的ではありません。

過去問から法令の読み方を学び、同じアプローチで解ける問題を増やしていきます。

問われていることが分かれば、問題が変わっても、正解へ向かう道筋は同じです。

「法規が苦手な人へ」シリーズ

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