一級建築士の法規を勉強し始めると、
「法令集の線引き、大変そうだな」
「最初から線が引いてある法令集を買った方が早くない?」
と思う人もいるかもしれません。
実際、線引きにはそれなりの時間がかかります。
それなら、誰かが線を引いた法令集を使えば、その時間を省けそうです。
ただ、これから一級建築士の法規を勉強するのであれば、私は自分で線を引くことをおすすめします。
これは「線引き済み法令集だから試験で使えない」という話ではありません。
この記事で伝えたいのは、法規の勉強という観点では、線を引く作業そのものにも意味があるということです。
理由は大きく3つあります。
理由1|線を引くことで条文を読むことになる
法令集に線を引くときは、ただ機械的にマーカーを引くわけではありません。
条文を読み、
「ここが重要そうだ」
「この条件は見落としたくない」
「ここは別の規定につながっている」
と考えながら線を引きます。
つまり、線引きをすることで、自然と法令集の中身に触れることになります。
一級建築士の法規では、法令集から必要な規定を探して問題を解きます。
そのため、勉強を始める段階で一度でも条文に触れておくことには意味があります。
線引き作業は、単に法令集を見やすくするための準備ではなく、法令集に慣れる最初の学習でもあります。
理由2|「読む→考える→引く→見つける」が法規の練習になる
法令集の線引きでは、
読む → 考える → 引く → あとで見つける
という作業を繰り返します。
この流れは、そのまま法規の勉強につながります。
試験では、
問題文を読む → 何について聞かれているか考える → 法令集から関係する条文を探す → 必要な規定を確認する
という作業が必要になります。
本番で初めて法令集を探し始めるのでは遅い。
勉強している段階から、
「この規定はこのあたりにある」 「このページにはこういう内容がある」
という感覚を少しずつ身につけていく必要があります。
自分で線を引けば、その過程で何度も法令集を開きます。
どこに何が書かれているかを知るきっかけにもなります。
だからこそ、線引きの時間をすべて「面倒な準備」と考えるのは少しもったいないと思います。
理由3|他人に必要な線が、自分にも必要とは限らない
もう一つ大きな理由があります。
ある人にとって重要な線が、自分にとっても重要とは限りません。
法規の勉強を続けていくと、
「ここはよく間違える」
「このただし書きを見落としやすい」
「この数字をすぐ確認できるようにしたい」
という、自分なりの弱点が出てきます。
反対に、他の人が重要だと思って引いた線でも、自分にとってはそれほど必要ではない場合があります。
線が多ければ多いほど見やすくなるわけではありません。
むしろ、
どこも重要に見えてしまって、本当に確認したい場所が見つけにくくなる
こともあります。
法令集を見やすくするために線を引いたのに、線が多すぎて読みにくくなってしまったら本末転倒です。
最初から完璧な線引きを作る必要はない
ここまで読むと、
「じゃあ最初から完璧に線を引かないといけないの?」
と思うかもしれません。
その必要はありません。
最初の線引きは、あくまでスタートです。
過去問を解いていく中で、
「ここをよく見る」
「この条件を忘れる」
「この関連条文へすぐ移動したい」
ということが分かってきます。
そのたびに、自分が使いやすいように少しずつ法令集を整えていけばいいのです。
法令集は、完成品を作ってから勉強を始めるものではありません。
勉強しながら、自分が使いやすい法令集にしていく。
この考え方で十分です。
線引き済み法令集を買う意味がまったくないわけではない
線引き済み法令集そのものを否定したいわけではありません。
例えば、
- どこに線を引くのか参考にしたい
- 線引きの考え方を知りたい
- すでに十分な法規学習経験があり、自分に必要な線を判断できる
といった場合には、参考資料として役立つこともあります。
ただし、これから法規を勉強する人が、
「線引きする時間がもったいないから、完成したものを買えばいい」
と考えているのであれば、一度考えてみてください。
省こうとしているその作業自体に、法規の勉強が含まれているからです。
法令集は「使いながら覚える」
一級建築士の法規では、法令集を持っているだけでは問題は解けません。
必要なのは、
問題文からキーワードを拾う → 条文を探す → 規定を読む → 関連する規定まで確認する
という作業です。
問題文から条文を探す流れを詳しく確認したい方は、法令集の基本的な引き方はこちらをご覧ください。
そのためには、実際に何度も法令集を使う必要があります。
線引きも、その練習の一部です。
「きれいな法令集を作ること」が目的ではありません。
試験中に必要な規定を見つけられる法令集にしていくこと。
こちらが目的です。
まとめ
線引き済み法令集を買うこと自体を否定するわけではありません。
ただ、これから一級建築士の法規を勉強するのであれば、私は自分で線を引くことをおすすめします。
理由は3つです。
- 線を引くことで条文を読むことになる
- 「読む→考える→引く→見つける」が法規の練習になる
- 他人に必要な線が、自分にも必要とは限らない
そして何より、
線引きは、法令集を完成させるための作業ではありません。
過去問を解きながら、自分が探しやすいように少しずつ育てていくものです。
最初から完璧を目指さなくて大丈夫です。
まずは自分で条文を読み、線を引き、実際に過去問を解きながら法令集を使ってみてください。
法令集を実際に引く練習を始めるなら、過去問クイックで過去問演習を始めることができます。
動画で見る
参考:法令集の試験会場への持ち込み条件については、年度ごとの最新の受験要領等を確認してください。本記事は主に学習方法としての線引きについて解説しています。