前回は、建物にかかった力が部材を通って地盤まで流れることを整理しました。

今回は、その力を受ける部材の配置とバランスを見ていきます。

強い柱や壁を使っていても、建物全体のバランスが悪ければ、一部に変形や負担が集中することがあります。

壁は多ければよいわけではない

地震や風に抵抗するため、耐力壁や筋かいなどは重要です。

ただし「壁が多い=必ず有利」ではありません。

壁が片側に偏ると、建物の左右で変形しやすさが変わり、建物が回転するように変形するねじれが生じやすくなります。

壁の配置バランスと建物のねじれ
壁の配置バランスと建物のねじれ

見るべきなのは壁の量だけでなく、

どこに配置されているか

です。

一つの階だけが弱いと変形が集中する

建物は地震時に多少変形しながら力に抵抗します。

問題は、その変形が一つの階だけに集中することです。

階ごとの壁量の違いによる変形
階ごとの壁量の違いによる変形

例えば、

  • 1階だけ壁が少ない
  • 1階だけ柱が細い
  • 一つの階だけ階高が大きい
  • ある階だけ大きな開口がある

といった場合、その階が弱点になりやすくなります。

文章問題では、

急に弱くなる部分がないか

を意識してください。

上下階の柱や壁がそろうと力を伝えやすい

2階の柱の真下に1階の柱があり、さらに基礎へつながっていれば、力は素直に下へ流れます。

一方、上階の柱の真下に柱がなければ、梁などで一度受け直す必要があります。

上下階の柱や壁の位置と力の流れ
上下階の柱や壁の位置と力の流れ

位置がずれること自体が直ちに不適切というわけではありません。

ただし、力の通り道が複雑になる分、それを受ける梁や床などに必要な強さが求められます。

建物の形が複雑になるほど注意が必要

単純な四角形に近い建物は、力の流れを考えやすくなります。

L字形、コの字形、凹凸が大きい形などでは、建物の各部分が異なる動きをしやすく、力や変形が集中する場所が生じることがあります。

建物の形と力の流れの違い
建物の形と力の流れの違い

複雑な建物が作れないわけではありません。

重要なのは、

形が複雑になるほど、力の流れも複雑になる

と理解しておくことです。

「強いか」だけでなく「バランス」を見る

構造の文章問題では、部材の強さだけに注目すると判断しにくい選択肢があります。

そんなときは、

  • 左右のバランスはどうか
  • 各階の強さは急に変わらないか
  • 上下階の柱や壁はつながっているか
  • 建物形状に急な変化はないか

を確認します。

建物全体が無理なく力を受け渡せるかを見ることが重要です。

今回のまとめ

丈夫な建物を考えるときは、

強い部材を使うこと だけではなく、

強さや剛性が適切に配置されていること

も大切です。

構造の文章問題では、

一部だけに力や変形が集中していないか

という視点を持つと、初めて見る問題でも考えやすくなります。