一級建築士は「難関資格」といわれますが、実際にはどのくらい難しいのでしょうか。
令和7年の一級建築士試験の総合合格率は11.4%でした。
数字だけを見ると、「約9人に1人」という水準です。
ただし、一級建築士試験の難しさは、単純に合格率だけでは分かりません。
大きな特徴は、学科試験を突破したあとに、設計製図試験が待っていることです。
今回は、一級建築士試験がなぜ難しいのかを、学科試験と設計製図試験に分けて見ていきます。
令和7年の総合合格率は11.4%
令和7年の一級建築士試験では、
- 学科試験の合格率:16.5%
- 設計製図試験の合格率:35.0%
- 総合合格率:11.4%
となっています。
合格率だけを見て他資格と単純に比較することはできませんが、一級建築士が簡単に取得できる資格ではないことは分かります。
では、何が難しいのでしょうか。
学科試験は5科目。とにかく範囲が広い
一級建築士の学科試験では、
- 計画
- 環境・設備
- 法規
- 構造
- 施工
の5科目が出題されます。
建築計画だけを勉強すればよいわけではありません。
建築設備、建築基準法などの法規、構造、建築施工まで幅広い知識が求められます。
また、総得点だけではなく科目ごとの基準点もあるため、「得意科目だけで点数を稼いで、苦手科目を捨てる」という勉強方法は取りにくい試験です。
そのため、5科目をバランスよく勉強する必要があります。
一方で、学科試験は過去問を中心に一つずつ知識を積み上げていくことで対策しやすい試験でもあります。
最初から5科目すべてを完璧にする必要はありません。
一つずつ攻略していくことが重要です。
学科を突破しても終わりではない
学科試験に合格すると、次に待っているのが設計製図試験です。
ここが一級建築士試験の大きな特徴です。
学科試験では、身につけた知識を使って問題に答えます。
一方、設計製図試験では、その知識を使って一つの建築物としてまとめる力が求められます。
いわば、学科=知識を答える試験から、設計製図=知識を使う試験へ変わります。
設計製図試験は6時間30分
設計製図試験の試験時間は6時間30分です。
その時間の中で、
- 課題文を読む
- 条件を整理する
- 建物を計画する
- 図面としてまとめる
- 時間内に完成させる
必要があります。
法規、構造、設備、動線、ゾーニングなど、それまで学んできた知識を使いながら、一つの建築計画としてまとめなければなりません。
単純に知識を暗記しているだけでは対応しにくいところが、設計製図試験の難しいところです。
さらに、どれだけ良い計画を考えても、時間内に図面を完成できなければなりません。
限られた時間の中で総合的にまとめ、完成させる。
これが設計製図試験の大きな難しさです。
設計製図試験には再挑戦できる制度がある
学科試験に合格したあと、設計製図試験に一度不合格になったら、すぐに学科からやり直しになるわけではありません。
一定の条件を満たせば、学科試験の免除を受けて設計製図試験に再挑戦できます。
学科試験に合格した年に設計製図試験を受験した場合、その年を含めて最大3回、設計製図試験を受験できる仕組みがあります。
そのため、一度学科試験を突破すれば、その後は設計製図試験の対策に集中できる期間があります。
一級建築士が難しい本当の理由
一級建築士試験の難しさは、単純に「難問がたくさん出るから」だけではありません。
大きなポイントは、幅広い知識が必要な学科試験を突破したあとに、その知識を総合的に使う設計製図試験が待っていることです。
この二段構えが、一級建築士試験の大きな難しさです。
ただし、最初から学科と設計製図を同時に攻略する必要はありません。
今、学科試験を勉強しているのであれば、まず学科に集中すれば大丈夫です。
学科を突破する頃には、建築についての知識も今よりずっと増えています。
一級建築士は難関。 でも、攻略するのは一段ずつ。
まずは学科試験から進めていきましょう。
動画で見る
参考:公益財団法人 建築技術教育普及センター 一級建築士試験