一級建築士製図試験の勉強では、エスキスの上手さや作図速度に目が向きやすくなります。

ただ、合格答案を安定してつくるには、得意な一つの技能を突出させるより、大きな穴を残さないことが重要だと考えています。

※この記事は受験経験と学習記録をもとに整理した個人的な考察であり、試験元が公表している正式な評価基準ではありません。

合格答案をつくる6つの技能

私が製図試験で必要だと考えているのは、次の6つです。

  1. 過去問対応力
  2. エスキス力
  3. 要点記述力
  4. 作図力
  5. チェック力
  6. タイムマネジメント
突出した得意より穴のない6技能
突出した得意より穴のない6技能

どれか一つが非常に高くても、別の技能に大きな弱点があると答案は安定しません。

6つの技能は3つの役割に分けられる

6つの技能を3つの役割に分ける
6つの技能を3つの役割に分ける

大きく分けると、

課題を読み、判断する

  • 過去問対応力

答案をつくる

  • エスキス力
  • 要点記述力
  • 作図力

答案を制御する

  • チェック力
  • タイムマネジメント

という3つの役割になります。

1.過去問対応力

課題文の要求・条件・注意事項を読み取り、何を優先すべきか判断する力です。

過去問を繰り返す目的は、同じ建物を覚えることだけではありません。

  • 要求室
  • 動線
  • 建築計画上の条件
  • 法規
  • 設備
  • 構造
  • 記述

がどのように答案へ影響するかを見る力を育てます。

2.エスキス力

限られた時間で条件を整理し、成立するプランへまとめる力です。

最初から自己流にするより、まず一つの手順を反復して、考える順番を身につける方法があります。

うまくまとまらなかった課題は、解答例を見るだけで終わらせず、再度エスキスしてみます。

同じ課題を複数回扱うことで、

  • どこに時間を使いすぎたか
  • 何を優先すべきだったか
  • どこは割り切ってよかったか

が見えやすくなります。

3.要点記述力

要点記述では、考えた内容を短い文章として答案に落とす必要があります。

知識があっても、時間内に言葉としてまとめられなければ得点につながりません。

練習では、

  • よく問われるテーマを整理する
  • 自分の言葉で説明する
  • 長すぎる文章を短くする
  • 図面と記述を矛盾させない

ことを意識します。

4.作図力

作図は「きれいに描く力」だけではありません。

決めたプランを、時間内に必要な情報を落とさず図面へ変換する力です。

同じ課題を繰り返すと、自分が遅い工程を特定しやすくなります。

同じ課題の反復で作図時間を短縮する
同じ課題の反復で作図時間を短縮する

速く描こうとするより、遅い工程を見つけて修正することが重要です。

5.チェック力

製図試験では、完成した図面に大きなミスが残ることが大きなリスクになります。

チェック項目は全員同じとは限りません。

自分が実際にしたミスを記録し、

  • 寸法
  • 面積
  • 要求室
  • 動線
  • 法規
  • 設備
  • 記述との整合

など、自分用のチェックリストへ反映させていきます。

6.タイムマネジメント

タイムマネジメントは、予定時刻を一秒もずらさないことではありません。

重要なのは、

  • 各工程に上限時間を持つ
  • 遅れたときの判断基準を持つ
  • 図面完成を優先する
  • 最後のチェック時間を残す

ことです。

普段から自分の標準的なペースを測っておくと、本番で判断しやすくなります。

重点は時期によって変わる

6技能を最初から均等に練習する必要はありません。

11週間で重点を移しながら6技能を埋める
11週間で重点を移しながら6技能を埋める

序盤では基本手順と課題理解。

中盤ではエスキス・作図の反復。

後半では弱点を埋め、最後は本番手順を固める。

というように、時期に応じて重点を移していきます。

得意を伸ばす前に、大きな穴を探す

製図試験は、満点を競う試験ではありません。

一つの技能をさらに磨くより、

今の自分に、答案を不安定にする大きな穴はないか

を確認する方が効果的な場合があります。

過去問対応、エスキス、記述、作図、チェック、時間管理。

6つを一度並べて、自分の現在地を確認してみてください。